●同時進行レポート / 深田親子奮闘記 其の三 「大いなる不当利得返還訴訟への道」
ついに迎えた口頭弁論の顛末
訴訟申請から約1カ月半後の9月3日と7日、セントラルファイナンス(訴訟額247万円)とプロミス(訴訟額147万円)のそれぞれ1回目の口頭弁論を迎えた深田さん親子。2件ともお父さんが取り引きしてきた分ですが、交通事故の古傷が遠因で歩行が不自由なお父さんに代わって、相談会(若松会)への出席、特定調停や訴訟もすべて主導権をとって進めてきた息子さんも法廷に同伴しました。
原告席への同席については、本来であれば原告本人もしくは弁護士でなければなりませんが、息子さんは事前に担当書記官に宛て「特定調停も自分が父に代わって行い、その経緯や事実関係などについては自分が詳しいので、傍聴席ではなく、原告席に座らせて欲しい」との要望を電話で行っていました。しかし、書記官からは「要望は裁判官に伝えるが、それが受け容れられるかどうかは、裁判官が判断することである」という回答しか得られていませんでした。
3日午前10時30分、書記官から事件番号と深田さん、そして被告名が読み上げられました。お父さんを支えて原告席まで行くと、書記官があきらかに自分に向かって「どうぞ」と着席を促してくれていることを知り、深田さんの息子さんは「良かった。同席が許された」と一安心したそうです。
セントラルファイナンス側からは弁護士が出廷しましたが、計算書については次回の17日までに用意するということで提出はなされませんでした。特定調停で相手方は、途中の平成3年からの計算書しか提出しなかったこともあって、深田さんは自らが作成した計算書の証拠として、お父さんが記してきた日記帳と返済履歴が記帳されている引落銀行口座を持参して法廷に臨んでいたのです。
過払いを認めたプロミス
一方、9月7日に行われたプロミスについては、相手が出廷せず、答弁書と122万5千円が過払いとなっていることを認める計算書が提出されました。
実はプロミスからは、口頭弁論に先立つ8月30日に、裁判所に提出された計算書と同額で和解の意志を伝える電話が入っていました。息子さんは、訴訟額に拘泥したのではなく、T副会長にも協力してもらい苦労して計算書を作成したのだから、一度は法廷の場で話し合いたいと思ったのです。本心は、予想以上の相手の和解提示額で十分だとも思い、父の体のことを思うと何度も出廷させることは望ましくないと思っていました。また、裁判のためにお店を閉めることも、常連のお客さんのことを考えると気がかりだったのです。
そんな息子さんのもとに、相手方から再度和解の電話連絡が入ったのは9月14日。熟慮の結果、和解を決意し和解書を取り交わしました。(つづく)
●特定調停の心得(2)
「いろはのEの字
3.そもそも「特定調停」とは何だろう?
多重債務者として相談に来たときには、既に皆さんは、精神的にぼろぼろの状態です。何らかの理由でサラ金等への返済が滞ってしまったことが原因で、多くの場合相当の時間と労力を使い、かつ、親類縁者からつまはじきにされ、サラ金にすら最後は相手にされないという状態です。そのときには、考える力すらもなくなっていますから、たいていの皆さんは「自己破産」の仕方を相談されます。でも、そんなときに私たちが「特定調停」をすすめるのは、ちゃんとした理由があるのです。
多重債務者の相談を聞き、私たちが借金の状態を尋ねると、実は本人が深刻になるほど事態が切羽詰まったものではないことがわかります。そんなかたたちにピッタリな解決方法が実は「特定調停」だったりするんです。
「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」
第一条 この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法(昭和26年法律第222)の特例として特定調停の手続きを定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係わる利害関係の調整を促進することを目的とする。
ここに私たちが「特定調停」と呼んでいる法律の主旨を抜粋してみましたが、いかがですか。これは、多重債務者が負っている金銭債務の全貌を明らかにする事を条件に、返済の仕方を変更する手続きを、裁判所が申立人と金融会社の間に入り、和解の手続きを代行すると宣言しているのです。
私たちが、経済的に再生が可能な多重債務者のために「特定調停」をすすめる理由がここにあるのです。では、「特定調停」を申し立てた場合、実際どういった手順があり、相手業者に対してどのような効力があるのか。わからないと不安ですよね?(つづく)
[事 務 局 よ り]
地方に進出するマチ金
今こそ全国の民商の結束を
最近、地方の民商から「東京のマチ金業者が地方の業者やサラリーマンを狙って高利の貸金をやり、被害者が出ている」と、相談があった。
宮崎県の都城民商からは、「新宿の業者を週刊誌で知り、7月末に3万円借りてしまった。以降利息だけで7万円を払ったが、職場に電話がかかってくるし、どうしたらいいだろうか」との相談があった。
さっそく業者に連絡した。「民商は全国組織なので、地方からの相談も新宿の業者に対しては若松会で解決している。ただちに和解に応じ、過払い金を返還してほしい」と交渉したところ、数日後に本人の元に1万5千円の金額が振り込まれ、スピード解決となった。
また、金沢民商からは、新宿を含め東京の4件の業者から高利の被害を受けている、という相談が寄せられ、現在解決に向けて動いている。
東京のマチ金業者は、最近は地方をターゲットに活動範囲を広げているようだ。こうしたときこそ民商の全国ネットワークの力が発揮されるときだ。8月の全国商工交流会では、若松会会長の吉富さんが代表報告を行った。そのこともあってか、地方の民商から「若松会ニュースをファックスで送ってほしい」という要望が相次いでいる。
大いに情報を交換し、励ましあい、相談者の解決と高利・マチ金業者のない社会をめざし、一歩一歩運動をすすめていきたい。(路)◆利息制限法の計算式は NO5P2 にあります。
新宿民商
若松会ニュース
No6 P2