そこでやむをえず、その岩の両端を切り開き水路を確保したという記録があります。この大岩(一枚岩)は、川の水量が少なくなるとその姿が水面から現れました。その岩の窪みに水が溜まり天然のいけすとなり子供らが魚をすくい、その溝は小川となり大人達は杯を流して風流を楽しむ景勝地となりました。その様子は広重作「江戸名所図絵」にも描かれています。残念ながら現在はもうありませんが、面影を偲ぶことが出来ます。
 明治通りから神田川沿いに東に行き、曙橋あたりから川の中央部に岩が姿を現します。三島橋から豊橋までは大岩がむき出しとなり、川が「ゴーゴー」と音をたてています。もし、川に降りることが出来たら、「風流」を楽しめたのにと残念な思いがしました。
 次に、豊橋から駒塚橋に向かっていくと、胸突坂をはさんで、関口芭蕉庵の向いに「水神社」が見えてきます。この神社の名は実にシンプルです。「上水」を守護する「水神」をお祀りする神社と言うことです。現在、各神社には祭神のが列記されていますが、本来は単純に「水神さま」・「山神さま」・「鎮守さま」と呼ばれていました。明治期以降、祭神名の表示が義務づけられたのです。もちろんこの神社にも祭神が表記されていますが、あまり意味がないように感じます。
 この神社は、都内にある神社というよりも、人里離れた場所にあるような雰囲気があります。石段は所どころ傾き歴史を感じさせ、二本の大銀杏が神社を包み込んでいます。境内は、土で木々の根がむき出しになっています。 ここに立つとまさに「タイムトリップ」をしている感じになります。石段に腰をかけて、そこからビル群・高速道路・コンクリートの堤防を眺めていると、人の世の移り変わりの早さに改めて気づかされます。
 しばらくは、神田川散策を続けていきますのでお付き合いください。

新宿区内を散策して集めた「タイムトリップ」の記事です
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honbu@shinjukuminshou.org
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タイムトリップ
神田川散策1  水神社
2002年5月 by清水裕二
 神田川は、井の頭公園を水源とし隅田川に合流します。かつては、三鷹の水源から文京区関口までを神田上水、関口から飯田橋までを江戸川、飯田橋から合流地までを神田川と三分化されていました。「江戸川橋」の地名はこれに由来しています。この川は、新宿区の北側を横断しています。一部は、豊島区と文京区に所属していますが、大部分は新宿区にありますのでタイムトリップで取り上げることにしました。この川沿いに散策をしていきます。
 さて、まず「一枚岩」を探訪します。神田川は、人工の河川です。人の手によって開削が進められていましたが、関口の付近で一枚の大岩が出現し、どうしても完全に破壊することが出来ず工事が難航しました。